REPORT:Rubyの父が初めて訪れたベトナムはとても熱かった

この記事は、株式会社ハウインターナショナルの高橋剛さんより、寄稿いただきました。

高橋剛
株式会社ハウインターナショナル代表取締役副社長
1999年、九州工業大学情報工学部 在学中に起業。現在は 自社プロダクトの企画・開発に携わりながら、社内のプロジェクトのコーチ役を担っている。
飯塚の技術コミュニティ e-ZUKA Tech Night の幹事役。


ベトナムというとどんな印象をお持ちでしょうか。ベトナム戦争を除けば、生春巻き、フォー、ベトナムコーヒー、アオザイ・・・その位のイメージしか浮かばないかもしれません。

かくいうレポーターもその程度のイメージのまま、2012年5月25日に開催された、ベトナム初の本格的なRubyイベント「Ruby HCM(ホーチミン) Forum」に参加してきました。しかも、ベトナム初訪問となるRubyの父、まつもとゆきひろ氏(以下、Matz)とともに、いくつかのIT企業を見学するチャンスを得られましたので、レポートします。

若いベトナム
ベトナムは人口約8,600万人、国土は南北に細長く、面積は日本の9割(九州を除いた面積に相当)ほど。北に政治の中心地ハノイ、南に経済の中心地ホーチミンを擁し、平均年齢はおよそ27歳(日本はおよそ45歳!)の若さにあふれる国です。
全体のおよそ3割の世帯が日本円にして20〜40万円程度の年収と、日本の10分の1ぐらいの感覚ですが、数ヶ月分の月収に相当するスマートフォンを無理してでも買う人が珍しくないほど、消費意欲は旺盛です(ローンはまだ普及してないので、それこそ生活費を削って)。その証拠に、ホーチミン市街にはアップルマークを掲げたショップがあちこちにあり、成長の勢いを感じます。

ソーシャルの盛り上がり

オンラインゲーム会社としてスタートし、今やベトナム最大級のインターネットポータルに成長したVNG。主力のオンラインゲームを足がかりして、ユーザ数820万を誇るSNS、Zing meの運営を手がけ、ソーシャルゲームのプラットフォームも提供しています。
ベトナムでもスマートフォンの普及に伴って、若年層を中心にソーシャルゲームは急成長を遂げており、タイトルの質も高いようです。その証拠に、2010年にはサイバーエージェント・ベンチャーズが出資、2011年11月にはDeNAとの提携を発表し、日本市場での展開も視野に入れています。
オフショア開発のイメージが強いベトナムですが、クリエイティブな面も目が離せません。

ベトナムと共に
今回、主に訪問したのはオフショア開発を中心とした日系のIT企業でした。各社とも得意な分野も設立の経緯も異なりますが、いずれも共通していたのはベトナムに対する強いコミットです。
例えば、10年以上前からベトナムに進出し、業務システムを中心に開発しているIndividual SystemsAureole Information Technologyからは、単に注目されているからという理由では決してない、ベトナムの人と共に企業を育ててきたという誇りを感じます。
また、スマートフォンに特化して非常に伸びているVitalify Asiaは、ベトナム発で世界レベルの開発会社を作るというビジョンを掲げています。デュアルモニタ環境を整えたり、社内のスポーツサークルを支援するなど、ベトナムにかけるエネルギーがありました。
こうした日系企業が少なからずベトナムの発展を支えているんだと思います。

ホーチミンIT飲み会


2012年5月24日(金)に、日本人オーナーが経営するピザ・レストラン Pizzza 4P’s で行われた「第4回ホーチミンIT飲み会」には40名程が参加。「つい数ヶ月ほど前にベトナムに進出してきた」「進出の準備のため1ヶ月ほど滞在してる」という人もちらほらいて、ベトナムの注目度の高さを実感しました。


Matzに続いてプレゼンを行ったのはYourGolf Onlineの矢吹通康氏。YourGolf Onlineは世界191ヵ国で100万人のゴルファーに愛用されている、ゴルフスコア管理アプリ&サービス。ベトナムでスマートフォンアプリを中心にオフショア開発を行なっているバイタリフィ(現地法人であるVitalify Asiaと共にアジアIT飲み会の主催者でもあります)と、この5月に資本・業務提携し、アプリ開発拠点をベトナムに移したとのこと。現在、矢吹氏を始め主要メンバーが立ち上げのために現地で共に作業しているそうです。

当日の模様は主催者のブログでもレポートされています。

Ruby HCM Forum

2012年5月25日(金)には、ホーチミン市自然科学大学(ベトナム国家大学の1校)で初の本格的なRubyのイベント、「Ruby HCM Forum」が開催されました。Matzのベトナム初講演ということもあって、200席の会場には立ち見が出るほどの大盛況。まだ、Rubyコミュニティが形成されているとは言えないベトナムですが、関心の高さが伺えます。

Matzの基調講演、九州工業大学の田中和明氏のmrubyの講演などを筆頭に、参加者は熱心に耳を傾けていました。また事例紹介では、LARION ComputingのLai Duc Nhuan氏がベトナム最大級のRuby on Railsの技術者集団がオフショア開発をどのように運営しているかを、YourGolf Onlineの曽佐顕氏が自社サービスのテストをどのように行なっているかを具体例を交えながら話してくれました。

Ruby HCM Forumのオーガナイザーを務めたのは、福岡のベンチャー Raycean(レイシャン) CEOの安部浩一朗氏。今回のMatzとの企業見学もアレンジしてくれた安部氏は、ベトナムのRubyコミュニティをサポートすることを目的とした、ホーチミンRubyセンター(仮称)の設立準備メンバーでもあります。今回のフォーラムを皮切りにセンター設立活動を本格化させ、教育や技術向上の取り組みはもちろん、スタートアップ支援などのビジネス面でのサポートも行なっていくそうです。今後が非常に楽しみです。

Ruby HCM Forumのについては、公式サイトを参照してください。

バイクの流れに感じるベトナムの心

あっという間のベトナム滞在で、ほんの僅かな部分しか見ていませんが、町中でふと気がつくことがありました。
ホーチミン市街では、平常時でもバイクの数はハンパないのですが、夕方のラッシュ時には途切れることなく行き交うバイクで道が埋め尽くされます。とある企業を訪問する時に、そんな道を渡らないといけない状況になりました。
案内して頂いた安部氏曰く、「走らず止まらず、ゆっくりと歩けば渡れます」とのこと。意味がよく飲み込めてない我々を尻目に、「じゃあ渡りますよ〜」と歩き始めた安部氏。遅れまいと恐る恐るながら、意を決して渡り始めました。
「え?うぁバイク止まってくれない・・・ちょっと・・・え・・・あ・・・お・・・う・・・渡れたよ!!」
律儀に停止してくれるわけではないけど、ライダーたちは怒鳴り散らしたりもせず、さも当たり前のように適度に減速しつつ、上手く我々を避けて通り過ぎていったのです。急に走ったり止まったりすると、ライダーが動きを予測できないのでダメなんだそうです。

外からバイクの流れを見るとまるで無法地帯のように感じるのですが、流れに飛び込んでみると根底に譲り合いの精神が息づいていることに気付かされます。
ベトナムの懐の深さを垣間見た瞬間でした。

今とても熱い国ベトナム、そろりと流れに飛び込んでみてはいかがでしょうか。

コメント

  1. […] スピーカーは、九州工業大学情報工学部准教授の田中和明さん、九州大学大学院芸術工学府の南部晃史さん、九州工業大学情報工学部の@tarunonさんと、大学関係者が多め(?)のようです。福岡で行われている勉強会では、珍しいのではないでしょうか?素早くつくって本質を見極めることが重要になってきた昨今、「素早くつくる技術」ということをテーマにディープに語り合う感じのイベントになるようです。主催者は、「RUBYの父が初めて訪れたベトナムはとても熱かった」を寄稿してくれた株式会社ハウインターナショナルの高橋剛さん。 […]