IoT化した海洋ブイで、海の詳細なデータを収集・分析することでみえるもの

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IoTが各地で盛り上がっているなか、ただハードウェアを作ったり、スマホとつながったりするだけがIoTではありません。データを収集・分析し、そこからどういった価値やサービスを提供するかを考えるべきだと僕は思います。

福岡ならではのIoTなサービスを提供している企業の一つに、Manycolorsがいます。前職でロボット開発に取り組んでいた中野晶太さん。「ロボットと言えばヒト型だとみなさん想像しがちだけど、ロボットのあり方っていろいろあっていいはず」と考えているそうです。

膨大なデータを処理する次世代シークエンサーを使った解析をきっかけに、大手試薬メーカーのデータマイニング、遺伝子情報の統計解析システムなど研究開発等の専門性の高い分野のソフトウェア開発に日々取り組んでいます。

大学や研究機関のR&Dとして活動する傍ら、自社としてスクリプト言語のrubyよりも軽量化されていて組み込み向けに開発された「mruby」を使ったハードウェア開発に取り組んでいます。そこで生まれたのがmrubyラピッドプロトタイピングプラットフォームの「enzi」。そのenziをもとに組み込まれたボードを使うことで、安価なIoTデバイスを作ることができます。

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中野さんがプロトタイプで制作したものの一つに、IoT化された「海洋ブイ」があります。気温や水温、湿度、位置情報などを計測できる海洋ブイは、クラウドとの連携で簡単に海洋の様子をデータ化できます。

通常、海洋ブイは高価なため多くを調達することができません。しかし、このブイを使うことで海水温や海水の濁度をもとに養殖の赤潮被害を未然に防いだり、養殖の生育状態を取得し効率的に養殖を行うことで燃料の削減につながったり、漁場の状態を推定することで陸にいながら海の様子の観測もできたりするなど、海の状態をピンポイントで把握することでさまざまな活用方法を見出すことができます。また、蓄積されたデータを自動分析することでパターンを見出し、異常を発見しやすくなるなどの効果があります。

海のIT化や共通プラットフォーム化が遅れていたために効率化できなかった分野が、昨今では「マリンIT」と呼ばれる海洋デバイスやシステム関連の新たな市場が生まれてきています。データマイニングなど統計解析のノウハウと海のIoTといえる製品づくりというニッチな分野を攻めることで、今まであまり誰も手をつけきれていなかった海洋分野が切り開かれていきそうです。

福岡は海にも距離が近く、海沿いに大学の研究施設も多い地域。海洋関係の取り組みも活発で、福岡ならではのスタートアップといえますね。

Eguchi Shintaro

編集者、ジャーナリスト。

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